株式会社アローズ|二谷 誠

失敗をどう捉えるかでその後が決まる。60社の面接に落ちたのも、事実だけを見ればキャリアの失敗。しかし、そのおかげで経営者の道を選んだと言える。

二谷誠(にたに まこと):京都府舞鶴市出身。オーストラリアのワーキングホリデーで経験を積み、25歳で経営の道に進む。現在は自身の株式会社アローズを運営する傍ら、株式会社ベンチャーサポートの運営にも参画し、独立支援や経営コンサルティングを行う。グループ全体で1000名以上を率いる二谷氏に、若かりし日の失敗話をお聞きした。

自らの過信が広告主を巻き込むトラブルに発展

─二谷さんの人生のなかで、記憶に残るような失敗談があればお聞かせください

私が経営者を目指すきっかけになった会社での失敗談があります。社内の独立支援制度を受けながら、営業を頑張っていたときの話です。徐々に結果が出るようになり、人に任せる立場にもなっていた私は、新たな分野に挑戦しようと手を広げていました。そんな時に、あるキャンペーンの打ち出しで広告費にお金をかけたのにもかかわらず、トラブルによって商品が販売できないことがあったんです。

─かなりの損害が出たと思うのですが、どのように対処されたのでしょうか

広告の配信によってリストを確保できたので、なんとか別の商品を販売できるように工夫してピンチをしのぎました。なので、なんとか損害を出さずに済んだというわけです。「とにかく広告費だけでも回収しないとやばい」と必死になっていましたね。

勢いだけで挑戦するのは単なるギャンブル

─機転を利かして、なんとか挽回したのですね。では、その失敗からどのようなことを学びましたか

“勢いだけで挑戦しない”ということですね。経営において、勢いが必要な場面はもちろんありますし、成果を出すために挑戦は欠かせません。しかし、それには成功するという確信や考え抜いたアイディアがあって初めて成り立ちます。ただ特攻するのは当たって砕けるだけなので、挑戦とは言わないですよね。でも当時の私は、ある程度の結果が出始めたことで、なんでも上手く行くだろうと思ってしまい勢いで突き進んでしまって。

「根拠のない挑戦で、たまにうまくいくことがありますよね。それが後々の大失敗を生む過信へと変化していくんです」

─若いときは特に、勢いだけで突っ走ることはよくありますよね

そうなんですよ。私の場合は承認欲求が強かったこともあり、目立ったほうが格好いいという思いもありました。良くも悪くも目立つことが、成功した経営者の証みたいな感覚もあって(笑)。そのような部分も、考えなしに挑戦することに拍車をかけていたのかもしれません。

失敗は成功への材料を掴む大きなチャンス

─では、今まさに失敗して悩んでいる人に向けて何かメッセージはありますか

失敗して悩んでいる人には、「人はいつからでも変われる」と伝えたいです。たとえ大きな失敗をしたとしても、人生が終わるわけではありません。失敗の経験を基に、新しい何かを始める人もたくさんいます。失敗したからこそたどり着ける場所もありますよね。私も就職活動で、60社から不採用の通知をもらいましたが、そこで受かっていたら経営者にならなかったかもしれません。失敗したことを悔やむのではなく、失敗をどのように活かすかが大切だと思います。

─失敗は成功までの通過点ということでしょうか

その通りです。考え方や本気度の問題だと思います。意外と切羽詰まったほうが、結果がうまくいくこともあるじゃないですか。そういう意味では、失敗を恐れる必要はありませんし、失敗したから終わりではないんです。失敗したら「自分の限界点を知れてラッキー」と考えるんですよ。自分のキャパの範囲でやっていれば失敗をしないかもしれませんが、成長につながる課題の発見もできないと思います。なので、失敗をポジティブに捉えて、次のフェーズへ行くための通過点だと考えて欲しいです。

「失敗したってことは何かを間違えたか、自分の能力を超えた挑戦なんですよ。そういう意味では、課題を見つける最短の方法でもあると捉えています」

少しの成果で自らを過信し、勢いだけで挑んだ仕事は失敗に終わった。「ただ、失敗=おしまいではなく、自分の限界点を確認する指標にすればいい」と、二谷氏は教えてくれた。失敗しても諦めず、挑戦を続けた先に1000名以上の規模の会社をつくった二谷氏の挑戦はまだまだ続く。

社名株式会社アローズ
住所東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル32階
代表二谷誠
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